
子どもたちの現状
外国人ルーツの子どもたちのいま
ミッション👉学習言語の習得
日常会話(生活言語)は1-3年で習得できますが、学校生活で使う学習言語は習得に更に時間がかかります。そのため、学校の授業についていけず苦労している子が増えています。
また、言葉などの問題でクラスメートからいじめにあう、授業中に「お客様」状態の子も少なくありません。


日本語指導が必要な生徒数
69,213人(2023年)
日本語指導が必要な生徒数は年々、増加の一歩をたどっております。高い学力を持ちながら、言葉の壁によりその力を発揮できない子もいます。
更に、進路状況では日本語指導が必要な中学生等の高等学校等への進学率は90.3%高校生等の中退率は8.5%、大学等への進学率は
46.6%にとどまっています。社会に出るまでの期間も継続したサポートが必要だと考えています。
日本語指導員
教育委員会から派遣された日本語指導員が公立学校で学校生活を支援しています。しかし、生徒数の増加に伴い配置が追い付いて
いない地域がほとんどのようです。


ダブルリミテッドとバイリンガル
多言語環境で育つと母語と日本語どちらも中途半端になってしまいやすいです。バイリンガルが2つの言語を同じレベルで操れるのに対しダブルリミテッドは2つの言語の内、どちらも年相応のレベルにない状態をいいます。
そうなってくると、学習面だけでなく情緒面の発達を阻害してしまいます。学習言語は抽象的な表現が多いのでタイミングを逃さず習得させることが重要です。
教育委員会
幼稚園~小学校低学年を受け持つ先生方へ
この学齢の子たちは吸収力が高く、どんどん言葉を吸収します。大人があれこれ対策を練っているうちに日本語を話し始めることもあるかもしれません。文章を短く切って話す、イラストを描くなどのコミュニケーションがおすすめです。
👉日本語指導員をお探しの教育委員会の方もぜひ一度、ご相談ください!

小学校中学年以上を受け持つ先生方へ
小学2年生から3年生に進級したら、学年別配当漢字が180字から200字に増えるなど学習量が一気に増えます。
また、教科書の内容も3年生から徐々にあいまいな表現が増えてきます。また、4年生からはプレ数学―中学校で学習する数学の基礎の基礎の学習が始まります。
そのため、学習言語を習得させるための適切な支援がより一層必要です。
しかし、専門性を持つ教材や先生がまだまだ不足しているだけなく指導法も確立されていません。
私は日本語指導経験を活かし支援をしたいと考えております。

小学校高学年を受け持つ先生方へ
5年生ではどの生徒もつまずきやすい面積の求め方や小数、分数の学習が始まります。また、教科書の内容は5年生からよりいっそうあいまいな表現が増えてきます。
社会科では、語句を正確に覚えていないととけない地理の学習が始まります。
6年生になると、社会科では歴史の勉強が始まるなどより思考力を問われる学習が始まります。このように思考力を問われる学習についていくには、学習言語をしっかりと習得できるよう継続した支援を受けることが重要です。
子供たちは日本在住歴が長くなるにつれ、一見するとサポートも不要に思えるほど堪能に日本語を話すようになります。
しかし、ひらがなは読めるけれど語彙力不足のため単語の意味がわからず長文読解は難しかったりするなど実は彼らこそより細やかな支援を必要としている場合があります。
特に、中学校に進学するとクラス担任制から教科担任制になり、勉強の進度が速くなるだけではなく内容も一気に難しくなるのでつまずくお子さんたちが多くみられます。

保護者の方へ
ご家庭で母語ではなしかけてあげてください。
「学校で日本語で過ごしているから」と家庭でも日本語を使わないと日本語を覚えないかもしれないと心配される気持ちはわかりますが、母語(第一言語)は思考と感情を司る大事なものです。母語も第二言語も中途半端だと自分の感情を正しく言語化できず混乱してしまうなど、学習面だけではなく情緒面にも影響が出ます。
また、言語はその言葉を話す民族の歴史や文化、思想哲学などアイデンティティの核となる要素が凝縮されたものです。
子どもたちは、母語で話すことで外国にいても母国への愛着を自然に養うのです。
母国を忘れないということも外国ルーツの子どもたちには大事なことなのです。

外国ルーツの子どもたちが抱える課題のケーススタディ
リュウ ミンション君の場合(中国出身)





学習言語と生活言語の違い
